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ソース:https://www.ecdc.europa.eu/en/news-events/increasing-risk-mosquito-borne-diseases-eueea-following-spread-aedes-species

2023.6.22

ヨーロッパでは温暖化が進み、熱波や洪水が頻発・深刻化し、夏が長く暖かくなっている。このため、ヒトスジシマカやネッタイシマカといった侵略的な蚊の種にとって好都合な条件が整いつつある。10年前の2013年、ヒトスジシマカはEU/EEAの8カ国で定着し、114の地域で被害を受けた。2023年現在、この蚊は13カ国、337地域に生息している。

「近年、これまで影響を受けていなかったEU/EEA地域への侵入蚊種の地理的拡散が見られました」とECDC(European Centre for Disease Prevention and Control)所長のAndrea Ammon氏は述べた。 「この状況が続けば、デング熱、チクングニア熱、ウエストナイル熱などの症例による感染者や死亡者がさらに増えることが予想される。蚊の個体数をコントロールし、監視と個人防護策を強化する方法に焦点を当てた取り組みが必要である。」

2022年、ウエストナイルウイルス感染症によるヒト感染者1,133名と死亡者92名がEU/EEAで報告され、このうち1,112名が11か国で現地感染しており、感染者数は2018年の最大流行年以来、最高となった。現地感染症例は、イタリア (723)、ギリシャ (286)、ルーマニア (47)、ドイツ (16)、ハンガリー (14)、クロアチア (8)、オーストリア (6)、フランス (6)、スペイン (4)、スロバキア ( 1) およびブルガリア (1)と報告された。

2022年にEU/EEA本土では71件のデング熱症例が記録され、これは2010年から2021年までに報告された症例総数に相当する。デング熱の現地症例はフランス(65件)とスペイン(6件)と報告された。

蚊の個体数をコントロールする持続可能な方法には、蚊が繁殖する滞留水源を排除すること、環境に優しい幼虫駆除剤を使用すること、また、蚊のコントロールについて地域社会の意識を促進することが挙げられる。

個人防護策には、蚊帳(できれば殺虫剤処理された蚊帳)の使用、網戸かエアコンの効いた部屋での睡眠や休息、窓網戸の使用、体の大部分を覆う衣服の着用、防蚊剤の使用などが含まれる。

蚊が媒介する症例についての一般市民、医療関係者、旅行者の意識を高めることも不可欠である。

実態

蚊の種の確立は、特定の行政地域で越冬し繁殖する自立した蚊の個体群を持つことと定義される。

デング熱はデング熱ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症で、感染した蚊に刺されることによって人に伝染する。この症例は、ヒトの生息地内またはその周囲で繁殖するネッタイシマカ(特に世界的にはネッタイシマカ、ヨーロッパではヒトスジシマカ)によって伝染する。デング熱は、アフリカ、南北アメリカ、南アジア、東南アジア、ウエスト太平洋地域の100か国以上で流行しており、デング熱の発生率はここ数十年、世界中で劇的に増加している。

ウエストナイルウイルスは、感染したイエカに刺されることによって鳥の間で伝染するが、偶発的にヒトや他の哺乳類(馬など)も感染する可能性がある。ヒトのウエストナイルウイルス感染の約80%は無症状である。ウエストナイル熱は最も一般的な臨床症状であり、頭痛、倦怠感、発熱、筋肉痛、嘔吐、発疹、疲労感、目の痛みなどの症状が突然現れるのが特徴である。高齢者や免疫不全の人は、死に至る可能性のあるウエストナイル神経浸潤性疾患を発症するリスクが高くなる。ヒトのこの症例に対する特別な予防法や治療法は存在しない。

※ネッタイシマカは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、チクングニヤウイルス、ジカウイルスを媒介することが知られている。ネッタイシマカはベネズエラウマ脳炎ウイルスを媒介する可能性があること、また、ベクター コンピテンス研究では、実験室内においてネッタイシマカがウエストナイルウイルスを媒介する能力があることが示唆されている。

ウエストナイルウイルスの感染者数に関する最新の数字は、ここから入手できる(https://www.ecdc.europa.eu/en/news-events/epidemiological-update-west-nile-virus-transmission-season-europe-2022)。

本概要はここまで■