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ソース:https://www.ema.europa.eu/en/news/ema-response-monkeypox-public-health-emergency
News 27/07/2022
欧州医薬品庁(EMA)は、現在拡大中のサル痘に対処するための一連の行動を開始した。サル痘については、世界保健機関 (WHO:World Health Organization) が7月23日付けで国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)を宣言した。今回の緊急事態宣言は、危機への備えや医薬品及び医療機器の管理におけるEMAの役割を強化するための規則(EU)2022/123が適用されてから初めてのものとなる。
今回のサル痘の流行が始まって以来、EMAはその状況を綿密に監視しており、EUの対応に備えてこれを支援するために、すでにいくつかの措置を講じている。その1つとして、7月22日には成人をサル痘から守るためにImvanexの適応拡大承認を勧告した。サル痘に関する公衆衛生上の緊急事態宣言を受けて、EMAは、拡大された指令を果たすために強化された権限を持って追加の施策を行っていくことになる。
医薬品の需給・不足の監視
新しい規則によって設立された「医薬品の不足と安全性に関するEMAエグゼクティブ・ステアリング・グループ(MSSG:EMA Executive Steering Group on Shortages and Safety of Medicinal Products)」は、サル痘による公衆衛生上の緊急事態に対して重要な医薬品の公式リストを作成し、維持管理を行う。このリストは、加盟国、医療専門家、患者、消費者が関与する共同プロセスによって作成される。
リストに含まれる医薬品の販売承認取得者は、医薬品の不足または不足の可能性、利用可能な在庫、需要と供給の予測について、関連情報を定期的にEMAに報告することが求められる。さらに加盟国は、これら医薬品の国レベルでの需要予測について定期的に報告を行う。
これによりMSSGは、公衆衛生を守る上で重要な医薬品の潜在的あるいは実際の不足を防止または軽減するために、欧州委員会やEU加盟国に対して、EUレベルでの適切な行動を勧告し、調整を行うことが可能となる。
現在EU内で、特にサル痘用として承認されている医薬品は2つ存在する。
・Tecovirimat SIGAは、天然痘、サル痘、牛痘の治療薬として承認されている。
・Imvanex ワクチンは、成人向けの天然痘およびサル痘ワクチンとして承認されている。ImvanexはアメリカでJynneosとして販売されているもので、その供給可能性が限られていることを考慮して、緊急タスクフォース(ETF:Emergency Task Force)はJynneosをEUにおいてサル痘ワクチンとして使用可能とするよう勧告した。
緊急タスクフォース(ETF)
COVID-19とサル痘の両方に対応するため、EMAの緊急タスクフォース(ETF)の権限が正式に拡大される。ETFはもともと、COVID-19パンデミックの中でEUの医薬品規制ネットワークから得られる最高レベルの専門知識をまとめるために設立された。緊急時に医薬品の開発と承認を主導してこれを加速するという中心的な役割を認識し、新規則によって正式な組織として設立された。
サル痘の発生に関連して、ETFはすでに利用可能な治療法とワクチン、および可能な医学的対策について議論を開始している。公衆衛生上の緊急事態宣言を受けて、サル痘の発生に対する治療的対応に必要な特定の専門知識を考慮して、EMAの運営理事会がETFの構成を見直し、正式に承認する。
その結果ETFの任務がサル痘に対応するために正式に拡大され、科学的助言の提供、今回の公衆衛生上の緊急事態に対応できる潜在的可能性のある医薬品に関する科学データのレビュー、サル痘に対して用いる医薬品の使用や有効性、安全性に関する独立したモニタリング研究の調整、並びに、欧州委員会または加盟国から求められた場合には未承認の医薬品の使用について加盟各国に勧告を行うことになる。
特に重要な点として、公衆衛生上の緊急事態を引き起こす疾患の治療、予防、または診断を目的とした医薬品の臨床試験について、臨床試験プロトコルに関する助言を行い、開発者にアドバイスを提供することが求められる。ETFは、臨床試験を促進するための科学的サポートを提供することもできる。アカデミアを含む開発者向けのこれら支援活動の目的は、意思決定を可能にし、且つ試験の重複を避けるために必要な堅牢なデータが得られるよう、適切に設計された大規模試験(プラットフォーム試験を含む)を迅速に承認し、実施させることにある。
サル痘の発生を受けて、ETFはすでに、抗ウイルス剤Tecovirimatとワクチン Imvanex の使用に関して試験プロトコルを見直し、臨床試験調整グループ (CTCG :Clinical Trial Coordination Group)や各国の規制機関と連携して、各国の管轄当局による臨床試験申請承認を調整および加速させ、EUでの大規模な国際共同治験の実施を促進している。
EMAは、今回の公衆衛生上の緊急事態、並びに、公衆衛生を守る可能性のある医薬品に関する科学的・技術的問題について、各国の管轄当局や、欧州疾病予防管理センター(ECDC :European Centre for Disease Prevention and Control)、保健・食品安全総局(DG-SANTE :Directore-General for Health and Food Safety)、欧州健康危機管理機構(HERA:European Health Emergency preparedness and Response Authority)、WHO、第三国、国際的科学機関を含むEUの諸機関と緊密な協力を行っている。
本内容はここまで